今回のテクニカルニュースの概要


今回ご紹介するのは、組立を行う板金部品に関して、上下寸法がわずかに異なる非対称の形状をしているため、組立時に取り付け間違いが誘発されていた製品を”外観には影響を出さないように”取り付け間違いを防止した技術提案事例です。今回行った取り付け間違い防止策を通じて、外観に影響が出ない形で、確認にかかる時間の短縮と不良品の防止を実現しました。

 

今回の製品では上下の寸法差が数ミリのため、きちんと確認をしないと取り付け間違いが発生し不良品となる可能性がありました。また、正しい上下向きを確認にするのに必要以上に時間がかかってしまうといった問題がありました。

さらに、この問題に対して、外観に影響が出ない形で、取り付け間違い防止策を実施する必要がありました。結論として、どのような防止対策を行ったかは本文下記にて記載しておりますので、是非最後までご覧ください。

課題:取り付ける板金部品の上下寸法がわずかに異なるため、確認に時間を要する、あるいは取り付け間違いが発生する・・・。

下記の画像のように、図面を確認していても正しい向きが分かりにくく、注意して確認するのに必要以上に時間がかかってしまう、あるいは取り付け向きを間違えて不良品が発生してしまうといった可能性がありました。

画像のように、上側と下側の辺の長さの差はわずか数mmのため、一目見ても上下がどちらかが分かりにくいです。このような問題が発生しないように、一つずつ図面を確認をしていると、非常に時間がかかってしまいます。

そこでまずは、①上下寸法を等しくした製品形状に変更する。②上側の角にだけ、面取りを行う。といった一般的な方法を考えましたが、これらの方法では寸法や外観形状に影響が出てしまいます。

今回の製品では寸法や外観に影響がでない方法で実施する必要があっため、その他の方法を考えました。

 

筐体設計・製造.COMの対策:センターポンチを打ち、外観に影響がないように組立時の確認時間の短縮と不良品の防止を実現!

 

上下向きが一目で分かるように対策する一方で、外観には影響がないようにする。これを解決する方法はズバリ「センターポンチを打つ」ことです。

上側にだけセンターポンチを追加することで、上下を一目で見て分かりやすくすることができます。

この方法が優れているのは、完成品の意匠性に全く問題がない、外観に影響が全くないという点です。下記画像のように、追加で打ったセンターポンチは最終ネジ止めをした際に完全に隠されます。

①上下寸法を等しくした製品形状に変更する。②上側の角にだけ、面取りを行う。なども、製品の上下を見分けるには有効ですが、外観が変化してしまう点が問題です。

センターポンチを開ける方法であれば、最終的な製品の外観に影響はなく、上下を簡単に見分けることができます。

まとめ

筐体設計・製造.comを運営する岡部工業株式会社では、今回の技術提案事例のように自社で不良品を出さない工夫を考え実施しております。客様への日々のVE提案に加え、社内でも現場改善を繰り返し、生産性を高める工夫を常に行っております。

実際の現場改善の工夫を行った事例は以下の通りです。

>>【既存金型+穴形状の変更で、高効率かつ高精度な板金部品の位置決め穴加工を実現!】テクニカルニュース vol.29

>>【複雑な曲線部品の加工は、ファイバーレーザー溶接に工法転換することで効率アップ!】テクニカルニュース vol.30

>>【位置決めダボを非対称にして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.32

>>【位置決めダボを左右で異なる大きさにして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.33

>>【溶接位置をマークで明確化することで生産性向上!】テクニカルニュース vol.36

>>【切り欠き追加で隅肉溶接忘れを防止&生産性向上!】テクニカルニュース vol.66

>>【ダボと位置決め穴を逆にすることで生産性向上&品質向上!】テクニカルニュース vol.67

>>【2カ所ダボ篏合 ⇒ ダボ&皿ねじ固定に位置決め方法を変更して、品質向上&生産性向上!】テクニカルニュース vol.68

>>【【溶接取付向きを分かりやすくすることで、不良品を防止!】テクニカルニュース vol.75

>>【溶接図面に仕上げ不可箇所を具体的に指示して、品質不良を防止!】テクニカルニュース vol.77

このように当社は社内の現場改善工夫だけでも多数事例がございます。お客様へのVE提案についても多数事例、実績がございます。
筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にお声掛け下さい。

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