今回のテクニカルニュースの概要


今回ご紹介する事例は、設計者が現場での作業や最終的な仕上がりを俯瞰的に見て、具体的な指示を溶接図面に入れた結果、品質不良の防止につながった、溶接図面への技術提案事例です。

今回の溶接部品には、親図面と子図面の2つがありました。しかし、親図面で重要な内容が子図面には反映されておらず、本来はメッキがあるはずの部分まで溶接仕上げを行った結果、メッキがない鋼板部分が露出してしまい、錆発生という品質不良が発生してしまっていました。

そこで筐体設計・製造.comでは、「この範囲はマスキングするので仕上げ禁止」という旨の指示を、具体的にかつ目的と共に、子図面に記載するように図面変更をご提案いたしました。

この結果、余計にメッキを除去することなく、品質不良を防止することができました。メッキや防錆処理がある板金部品で、かつ図面が分かれる場合、どの工程で板金部品の表面がどうなっているか、最終の表面仕上がりに問題はないのか、ということを全体工程を踏まえて確認する必要があります。

 

課題:本来はメッキがあるはずの部分まで溶接仕上げしてしまい、錆が発生してしまう…

今回の溶接部品には、素材としてメッキ鋼板を指定した親図面と子図面の2つがありました。全体を見る設計者が親図面と子図面を作成し、溶接作業者は親図面は見ず、子図面を見て溶接作業するという流れでした。

親図面はメッキ鋼板の板金部品で、溶接後に塗装するためのマスキング指示がありました。一方で子図面では、メッキ鋼板部品に溶接し、その後溶接仕上げを施しています。

ここで子図面にて、溶接仕上げをした箇所は、元々の材料であるメッキ鋼板のメッキが除去されています。しかし、溶接仕上げ箇所が親図面の通りにマスキングされてしまうと、メッキがない鋼板が表面に露出してしまい、錆発生の原因につながってしまいます。ざっくりとした概略図は下記のとおりです。

 

溶接仕上げ作業は、その部分だけでなく全体的に綺麗に仕上げたいという作業者の感情も入ることもあります。そのため、溶接仕上げ時に制限がかからない場合は、よかれと広範囲に仕上げ作業を実施してしまい、本来は仕上げをしてはいけない箇所まで仕上げをしてしまった結果、素材のメッキを指定以上の範囲で剥がしてしまい、錆発生につながるという連鎖になってしまうのです。

 

 

筐体設計・製造.COMの対策:具体的な指示を目的と共に図面に入れて、品質不良を防止!

そこで筐体設計・製造.comでは、下記のような指示を子図面に追加いたしました。

子図面にて「この範囲はマスキングするので仕上げ禁止」という旨の指示を追加しました。上図面のように、具体的に仕上げ不可の箇所を、目的と共に説明をしています。こうすることで、メッキ鋼板のメッキ除去がなくなり、マスキング&塗装してもメッキが表面に残ったままになるため、錆発生を抑えることができます。

 

メッキや防錆処理がある板金部品で、かつ図面が分かれる場合は、要注意!

今回のような事象が起きるのは、①設計者が親図面と子図面を俯瞰的に見れていなかったこと、②溶接箇所とマスキング箇所が近かったこと、という2つの大きな要因が影響しています。

 

親図面と子図面がある場合は、設計者も図面作成していても気付かないことも多々あります。流れとしては、全体部品の設計をしてから単品部品の設計という流れになりますが、両方の図面を見ている人がいないと、今回の事例のように見落としてしまう恐れがあります。

類似したケースとしては、端面を防錆処理してある部品についても、溶接後に洗油してしまうと落ちてしまうというケースもありました。このようなケースでは、溶接後に防錆処理するように工程を変更することで、防錆処理を落とさずに済むようになります。

メッキや防錆処理がある板金部品で、かつ図面が分かれる場合、どの工程で板金部品の表面がどうなっているか、最終の表面仕上がりに問題はないのか、ということを全体工程を踏まえて確認する必要があります。

 

また、そもそも溶接箇所とマスキング箇所が近すぎると、たとえ仕上げ不可の指示があったとしても、グラインダーの大きさもあるため仕上げが困難になってしまうこともあります。そのため、製作前の設計段階で現場のことを考慮して、溶接箇所と仕上げ不可のマスキング箇所を近くにしないような設計をする必要があります。

 

どちらにしても、設計段階でどれだけ現場のことを理解できているか、現場担当者への配慮ができるか、という点が図面に表されている必要があります。特に点数が多くなりがちな精密板金筐体の全体設計をする設計担当者は、製造現場や製造委託先に適切な指示をして、品質不良を防止する必要があります。

 

まとめ

筐体設計・製造.COMを運営する岡部工業は、メーカーの設計と、板金の現場をつなぐ架け橋的な存在として、現場感も踏まえた上で積極的なVA/VE提案をする板金ソリューションカンパニーです。「本当にこの図面でいいのかな…?」「この図面じゃできないと断られた…」「昔の図面のままだけど品質不良が改善されない…」とお悩みの方は、ぜひ当社にご相談ください。現場目線で最適な図面設計へ改善提案をいたします。

 

筐体設計・製造.comを運営する岡部工業では、お客様への日々のVE提案に加え、生産性の高い機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にご相談ください。

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