表面性状とは、製品表面にある微細な凹凸やうねりの状態を総合的に示すものです。「表面粗さ」は、その中でも特に細かく周期の短い凹凸を指す言葉として一般的に用いられます。

なぜ指定するのか

この表面の凹凸は、製品の性能に大きく影響します。そのため、以下のような部品に求められる機能と、加工コストのバランスを考慮して、適切な仕上げの状態が指定されます。

  • 摺動性(滑りやすさ): 部品同士が接触して動く箇所の摩擦を管理する。
  • 密着性: 塗装や接着剤の乗りを良くする。
  • 気密性: シール面の漏れを防ぐ。
  • 美的外観: 光沢や艶消しなど、製品のデザイン性を高める。

一般的に、表面を滑らかにする(粗さを小さくする)ほど、加工の手間が増えコストは高くなります。

主な評価パラメータ

表面性状は、目的に応じて様々なパラメータで評価され、単位には**マイクロメートル(μm)**が用いられます。代表的なものに以下があります。

  • Ra(算術平均粗さ) 基準長さにおける凹凸の算術的な平均高さ。最も広く一般的に使用されるパラメータです。

  • Rz(最大高さ粗さ) 基準長さにおける最も高い山と最も低い谷の高さの差。傷や打痕など、局部的な欠陥を評価するのに適しています。

  • Rzjis(十点平均粗さ) 基準長さから5番目までの山と谷の平均高さの差を求めたもの。旧JIS規格で広く使われていたパラメータです。

図面での指示方法

図面では、JIS規格で定められた専用の「表面性状指示記号」(√に似た記号)を用いて指示します。この記号により、評価パラメータの値だけでなく、加工方法も指定できます。

  • 除去加工の有無
    • 基本記号(何も付けない): 除去加工の有無を問わない。
    • 丸を付ける: 除去加工が必要(切削、研削など)。
    • 横線を付ける: 除去加工を禁止する(圧延肌、黒皮のままなど)。