今回のテクニカルニュースの概要
今回ご紹介するのは、800×1200mmの大物板金部品にあった、組立時の位置決め用の小さな曲げを設計変更により廃止し、曲げ工数の削減と安定した加工を実現した課題解決事例です。
この部品には、補強部品の位置を決めるために、幅20mmの小さなフランジ曲げがありました。しかし、800×1200mmという大きく重い部品を支えながら、わずか20mm幅の曲げを行うのは、突き当てが不安定なため難しいうえに、大きな労力の掛かる作業でした。そこで、位置決めの機能を補強部品側へ延長して持たせることでこの小さな曲げ自体を廃止し、加工時間の短縮と、曲げ加工の難易度低減による安定した加工を実現いたしました。

大物部品の「小さな曲げ」は、なぜ難しいのか?
プレスブレーキ(ベンダー)による曲げ加工では、材料を機械後方の突き当て(バックゲージ)に押し当てることで曲げ位置を決め、曲げ動作に合わせて跳ね上がる材料を作業者が支えながら加工を行います。今回のような800×1200mmクラスの大物部品では、下の動画のように、大きく重い材料を二人がかりで支え、息を合わせて曲げていく必要があります。曲げの角度や跳ね上がるタイミングを見ながら材料を保持するには熟練の技術が求められ、1回の曲げにも大きな労力と手間が掛かります。
そのような大物部品の曲げ加工の中でも、特に難しいのが、部品の隅のわずかな部分だけを曲げる、幅の狭い小さな曲げ(現場では「チョイ曲げ」とも呼ばれます)です。突き当てに押し当てられる幅がわずかしかないため、大きく重い材料をこの小さな面だけで位置決めしなければならず、材料がわずかに傾いただけで曲げ線がずれてしまいます。大物部品を支える労力と、細心の注意を払いながらの位置決めが重なる、難易度と負担の特に大きい作業となるのです。
課題:大物部品の小さな曲げは、労力と時間が掛かるうえ、不具合リスクも高い…
今回の対象は、800×1200mmの大物部品です。

この部品には、組立時に補強部品の位置を決めるための、幅20mmの小さなフランジ曲げがありました。

一見すると単純なこの1曲げに、大きく2つの課題がありました。
課題1:突き当てが不安定なため、労力と加工時間が掛かってしまう
この曲げでは、突き当てに当たる幅が20mmしかないため、大物部品を安定して位置決めすることができません。作業者は、大きく重い材料を支える労力に加えて、材料の傾きに細心の注意を払いながら慎重に曲げる必要があり、この1曲げのために多くの労力と時間が掛かってしまっていました。
課題2:斜め曲げなどの不具合リスクが高い
慎重に作業をしても、不安定な突き当てである以上、材料のわずかな傾きによって曲げ線がずれ、フランジが斜めに曲がってしまう「斜め曲げ」などの不具合が発生するリスクが高い状態でした。万一斜め曲げが発生すれば、大物部品そのものが不良となり、材料費・加工工数ともに大きな損失につながってしまいます。
筐体設計・製造.COMの対策:位置決め部分を補強部品側へ変更して集約し、小さな曲げ作業自体を削減!
そこで当社では、「この曲げを上手く曲げる方法」ではなく、「この曲げ自体をなくす方法」を検討しました。この小さな曲げの役割は、あくまで組立時の位置決めです。そこで設計を見直し、位置決めの機能を補強部品側へ延長して追加することで、大物部品側の小さな曲げを廃止しました。
下図のように、大物部品側からは難しい曲げがなくなり、位置決めの役割は補強部品側の延長形状が引き継いでいます。

この設計変更により、従来の課題を以下の通り解決しました。
- 労力と時間の掛かっていた小さな曲げがなくなり、加工時間を短縮
大物部品側の曲げ工程が1つ減り、しかも最も労力と時間の掛かっていた不安定な曲げそのものがなくなったため、加工時間を大幅に短縮することができました。 - 難易度の高い曲げがなくなったことで、部品全体として安定した加工が可能に
不安定な突き当てによる難しい曲げが廃止されたことで、この部品の曲げ加工全体の難易度が下がり、結果として安定した加工が可能となりました。斜め曲げなどの不具合リスクそのものも排除され、位置決めの機能は補強部品側の形状で担保されるため、組立時の位置決め精度も維持されます。
今回の設計変更は、単なる社内の工数削減にとどまらず、当社が筐体・装置部品をご提供しているお客様(各種産業機械・装置メーカー様)に対して、品質・コスト・納期(QCD)の各面で付加価値をご提供するものです。難易度の高い曲げを廃止したことで斜め曲げなどの不具合が起こらなくなり、常に安定した品質の部品をお届けできるようになりました。
労力と時間の掛かっていた曲げがなくなったことで加工工数が削減され、部品コストを抑えた提供が可能となっています。このように、当社では加工しづらい形状をそのまま製作するのではなく、部品の役割にまでさかのぼって形状を最適化するVE提案を通じて、お客様のQCD向上に貢献してまいります。
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このように、筐体設計・製造.COMでは、お客様への日々のVE提案を通じて、品質・コスト・納期の面で貴社の課題解決を強力にサポートいたします。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工などでお困りのことがありましたら、まずは一度当社までお気軽にご相談ください。
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