今回のテクニカルニュースの概要


今回ご紹介する事例はFR曲げで加工を行っていた量産品を、専用の金型での一発曲げでの加工に置き換えることで、工数削減とそれによるコスト削減、更には安定して高い精度での加工を実現することができた技術
提案事例です。

当社では元々、月最大400点ほど、出荷が必要な製品の加工を1点ずつFR曲げ加工で対応しておりました。

FR曲げの場合ですと、精度確認を含めて1部品あたり2~3分加工に時間を要していました。

 

 

そこで筐体設計・製造.comでは、このFR曲げから専用金型で一発で曲げへと置き換えることで、1部品あたり5秒というかなりの加工時間の短縮を実現しました。

FR曲げと専用金型の一発曲げの場合とを比較すると、1部品あたり約145秒の加工時間の短縮を実現。また実際ところ、今回の事例では月400点出荷する製品でしたので、実際のところ月およそ16時間もの加工時間の短縮を実現することができました。

更に、専用金型で曲げを行う場合、FR曲げと比較して、作業者の熟練度などに関係なく常に同じRの精度を実現できるという精度面でのメリットもありました。

このように、FR曲げからの専用金型での一発曲げへと置き換えることで、工数削減、またそれによるコスト削減、また安定して高い精度での加工を実現しました。

 

 

課題:月400点出荷する量産品を1つずつFR曲げで加工するため、時間もかかるし精度も安定しない…

先ほどご紹介したように、あくまで一例ですが元々月400点もの製品を一つずつFR曲げで加工を行っていました。

そのため、FR曲げの特徴でもある少しずつRを付けていく方法では時間もかかるとともに、高い精度を保つには作業者の熟練の技術が必要でした。

実際に当社で行っているFR曲げの様子を動画で紹介します。加工のイメージが湧きやすいと思いますので是非ご覧ください。

このようにFR曲げは少しずつ曲げることで求めるRを実現します。

 

ここまでFR曲げに対して、デメリットばかりを記載してしまいましたが、実際のところFR曲げが効果的な場面も存在します。

それは、試作、小ロットでの加工時です。今回の事例では量産品だったため、FR曲げよりも専用金型での加工が適していましたが、試作、小ロットではFR曲げが適しています。

その理由は、専用金型の金型費用にあります。専用金型は文字通り、お客様の製品(曲げの仕様)に合わせて一から”専用”で金型を用意し加工を行います。そのため、金型費用が発生するため初期コストが大幅にかかってしまいます。

したがって、試作や小ロットの場合、専用金型を作成するとなると、この金型の初期コストによるデメリットが大きく、専用金型で享受できる工数削減やコスト面でのメリットが薄れてしまいます。

下記記事でも、FR曲げ加工が適している場合について解説しておりますので、合わせてご覧ください。

>>【試作段階でのR曲げ加工方法 ”FR曲げ加工 ” のご紹介!】テクニカルニュース vol.31

とはいっても今回の場合は、月400点を超える量産品です。このような場合では、FR曲げはむしろ時間のかかる加工のボトルネックになっていました。

 

 

筐体設計・製造.COMの対策:専用金型を用意し、FR曲げから金型での一発曲げに置き換え!

今回のような量産品の場合、FR曲げより、専用金型を用意した場合の方が、たとえ金型の初期コストが発生したとしても総合的なメリットが大きいと判断し、専用金型での一発曲げをご提案しました。

まずは、専用金型による一発曲げの様子をご覧ください。

 

専用の金型で行う一発曲げのイメージの下記に記載いたします。

 

動画でご紹介したように専用金型を使用した場合は、曲げ加工に要する時間がかなり短縮できていることがお分かりになるかと思います。

具体的にはFR曲げと専用金型の一発曲げの場合とを比較すると、1部品あたり約145秒の加工時間の短縮、月間でおよそ16時間もの加工時間の短縮を実現することができました。

この加工時間の短縮によるコストダウンをお客様に提示し、金型コストを加味した上で、最終的にお客様にて曲げ方法を決定いただきました。

また今回は、FR曲げを専用金型で曲げることにより、コストダウンを実現した事例を紹介しましたが、筐体設計・製造.COMではお客様の求める製品、ロットに応じてFR曲げが良いか、あるいは専用金型を用意するべきか、最終的なコストを総合的に加味してご提案と柔軟な対応が可能です。

例えば、実際にお客様に喜んでいただいた事例として、まずはFR曲げで試作を行い、お客様の方で製品を確認いただいた後、量産になった段階で専用金型での一発曲げに移行していくということがございました。

このように、お客様の段階に合わせて曲げ加工の方法の選択肢があることが、筐体設計・製造.COMの強みです。

 

 

まとめ

今回ご紹介したように量産品の場合、FR曲げから専用金型で一発で曲げに置き換えかえることで、以下のようなメリットがあります。

メリット①:工数削減

メリット②:コストダウン

メリット③:加工精度の安定

また、今回は専用金型を用意することで上記のようなメリットがありましたが、お客様の製品、ロットによってはFR曲げが適している場合もあります。

筐体設計・製造.COMではお客様の求める製品、ロットに応じてFR曲げが良いか、あるいは専用金型を用意するべきか、最終的なコストを総合的に加味してご提案と柔軟な対応が可能です。

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