今回のテクニカルニュースの概要
今回ご紹介するの事例は、位置決め凸起である「ダボ」を最適に配置することで、作業者が迷わず、かつ確実に部品を溶接できる仕組みを構築した事例です。当初は、レーザー加工工程で付けたケガキ線を位置決めとしておりました。しかし、3箇所のダボをによる位置決めに変更したことで、作業効率の向上と品質の安定化を同時に実現いたしました。

製品の概要と加工上のボトルネック
本事例の対象製品は、数センチサイズの小さいブラケットです。このブラケットを板金部品にスポット溶接します。当初から以下の2つの大きなボトルネックを抱えていました。
①「小さすぎる」ための位置決め制限
通常、部品の正確な位置出しには凸起(ダボ)を設けて嵌合させるのが定石です。板金部品にダボ、ブラケットに篏合する穴を2つあけることで固定した位置決めが真能です。しかし、本部品の溶接部分は14㎜×11.8㎜と非常に狭く、標準的なピッチでのダボ設置が困難でした。また、狭いため、嵌合するダボだと、スポット溶接ができませんでした。このため、本事例は当初はレーザ―でつけたケガキ線で位置決めを行っていました。

②「片側が浮く」不安定な形状
ブラケット部品の特性上、板金部品にセットした際に片側が浮き上がってしまう構造をしていました。このため、位置の固定ができないので、手で押さえながら溶接を行います。

課題:ケガキ線による位置決めは、「視覚的な位置決め」となり、手でブラケットを押さえながら溶接を行うため加工効率が非常に悪い。
当初の試作工程では、ベース板にレーザー照射によるケガキ線を施し、それを作業者が目視で確認しながら位置決めを行う手法を採っていました。しかし、ケガキ線による位置決めでは、設置面積が狭い部品をケガキ線に合わせて、手で押さえながら溶接を行います。
さらに、この部品は片側が浮いている形状のため、位置の保持が非常に困難な形状となっておりました。

このため、ケガキ線に視覚的に位置を合わせても、スポット溶接時に部品の位置が数ミリずれてしまうことがあったり、作業者の疲労度により加工精度とスピードも変動するため、加工効率が非常に悪い作業となっておりました。
筐体設計・製造.COMの対策:ダボに突き当てて位置決めを行うことで、サイズと形状という位置決めのボトルネックを解消し、生産性向上を実現!
そこで、筐体設計・製造.COMでは、従来のレーザーケガキによる不確実な「視覚的合わせ」を廃止し、ベース板側に3箇所の位置決め用ダボを設置しました。このダボにブラケットを突き当てることで正確な位置決めを可能にいたしました。
具体的には、部品の外周を3点で拘束する配置でダボを設置しました。このダボは、NTC(タレットパンチプレス)による抜き工程で加工するので、追加の作業工数はほとんどかかりません。作業者は部品を指先でダボに押し当てるだけで、ブラケットの位置決めをすることができます。
この「突き当て方式」の導入により、片側が浮き上がってしまう不安定な形状であっても、3つのダボが物理的なストッパーとなり、スポット溶接時の加圧による部品のズレや逃げを抑制できるようになりました 。

実際のブラケットの位置決めとスポット溶接の試作品はこちらです。

この結果、常に一定のダボピッチとスポットエリアが確保され、作業者の熟練度に依存することなく、品質の安定性と生産性向上を実現いたしました 。このように、筐体 設計・製造. comを運営する岡部工業ではお客様が気づかない『加工のしにくさ』を設計段階で膿出しし、安定供給を支えます。
位置決めダボに関する生産性向上・品質向上事例をご紹介!
本事例の他にも、位置決めダボの位置変更、追加の設置による、生産性向上の事例が多くございます。詳しくは下記のテクニカルニュースをご覧ください。
【位置決めダボを非対称にして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.32
【位置決めダボを左右で異なる大きさにして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.33
【ダボと位置決め穴を逆にすることで生産性向上&品質向上!】テクニカルニュース vol.67
【外観に影響を出さずに、上下の向きが分かりにくい製品の取り付け間違いを防止!】テクニカルニュース vol.78
【ダボの凹みを別部品で隠れる位置に設計することで、外観品質を確保しつつ仕上げ工程を削減!】テクニカルニュースvol.88
【平面への丸棒の溶接時の位置決めに、ダボを用いることで生産性向上!】テクニカルニュースvol.91
まとめ
いかがでしたでしょうか。
筐体設計・製造.comを運営する岡部工業では、精密板金筐体の設計段階からのサポートに力を入れております。板金筐体の設計エンジニアの方々は、どうしても現場の加工機や効率性のことまでは気にせずに、求める機能や品質、強度を重視して製品設計を行います。
そこで当社では、現場目線かつ量産時の効率性を重視した上で、最適な板金設計のご提案を積極的にいたします。お客様の製品用途や機能、品質などを十分に理解した上で、量産前試作の段階で様々な膿出しを行うことで、あらゆる可能性を考慮することができ、結果として大きなコストダウンにつながる可能性もあります。













