今回のテクニカルニュースの概要


今回ご紹介する事例は、削りでの製作依頼だったザグリ形状付きの板金部品を、2枚の板金部品の張り合わせに工法転換することでコストダウンに成功した技術提案事例です。

お客様からは、板厚t=3mmの板金に対して、深さ2mmのザグリありの形状の製品に関して、製造依頼をいただきました。しかしこのような形状は機械加工が必要なため対応可能な板金加工メーカーは少なく、またコストも想定よりも高くなってしまうことが多くなってしまいます。

そこで筐体設計・製造.comでは、部品全体を2枚に分割して、貼り合わせるように形状変更いたしました。こうすることで外注での機械加工が不要になり、外注費を抑えることができたため、結果としてコストダウン&リードタイム短縮につながりました。

しかし板金部品の張り合わせにはデメリットもございますので、当社ではお客様のご要望や用途の詳細をお伺いした上で、最適な板金設計のご提案をいたします。

 

 

お客様の課題

お客様からは、下の写真のような、板厚t=3mmの板金に対して、深さ2mmのザグリありの形状の製品に関して、製造依頼をいただきました。

【削りによるザグリ形状は、板金部品の貼り合わせに工法転換!】テクニカルニュース vol.58

このような形状の製造は可能ではありますが、ザグリ形状がある部品は機械加工が必要になってしまいます。そのため、板金加工を行っている当社では、社内では加工することができません。

また、機械加工の中でも削るという作業は、ご依頼いただく皆様が思っている以上に高くなってしまいます。特に板金加工への追加工としての削り工程は、工程が複数にまたがるようになるため、高コストにつながってしまいます。

 

 

筐体設計・製造.COMの提案

そこで筐体設計・製造.comでは、部品全体を2枚に分割して、貼り合わせるように形状変更いたしました。

【削りによるザグリ形状は、板金部品の貼り合わせに工法転換!】テクニカルニュース vol.58

片方の板金部品はザグリ部分を穴として加工することで形状ができあがります。そしてスポット溶接でもう1枚の板金部品を張り合わせることで、板厚t=3mmの板金に対して深さ2mmのザグリありの形状付きの板金部品が製造できるようになります。

このように形状変更することで、外注での機械加工が不要になり、すべての工程を社内で一貫対応できるようになりました。そのためコストも外注費を抑えることができたため、結果としてコストダウンになりました。もちろん外注工程がなくなるため、リードタイム短縮にもつながっています。

 

 

板金部品の張り合わせのメリット・デメリット

板金部品の張り合わせに関しては、メリット・デメリットがそれぞれございます。

まずメリットについては、形状や機能の自由度が高くなる点があげられます。実際に当社では、過去にも板金部品の張り合わせのご提案を行っております。

>>【溶接スタッドから圧入スタッド+スポット溶接への工法転換で高精度板金設計!】テクニカルニュース vol.45

上記の方法も、2枚の板金部品の張り合わせに変更することで、精度面、強度面、美観性の3点を兼ね備えた板金設計を実現することができました。

 

【削りによるザグリ形状は、板金部品の貼り合わせに工法転換!】テクニカルニュース vol.58

ただし板金部品の貼り合わせのデメリットとしては、下記3つがあげられます。

・横から張り合わせの線が見えてしまうため、美観性が損なわれてしまう

・溶接工程が必要になる

・表面仕上げによってはコストがかかる

まず貼り合わせのデメリットとしては、板金部品を横から見ると、貼り合わせの線が見えてしまうことがあげられます。そのため板金部品の用途において美観性を重要視する際は、当社ではこちらの手法は推奨しておりません。

また張り合わせを行う際には、必ず溶接加工の工程が必要になります。今回は外注工程がなくなったためコストダウンになっていますが、形状によってはコスト増加につながってしまう可能性もございます。

さらに今回の板金部品では、表面仕上げとしてヘアライン仕上げ処理を行っており、時間的にも費用的にもコストがかかっています。表面仕上げが難しい場合は、さらに別途コストがかかる可能性もございます。

このようなデメリットを考慮した上で、当社では板金部品の張り合わせによる形状変更提案も行っております。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

筐体設計・製造.comを運営する岡部工業では、お客様への日々のVE提案に加え、生産性の高い機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にご相談くださいませ。

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