今回ご紹介する事例は、側面（サイドフランジ）に立ち上がりを持つR曲げ形状の加工の課題解決を行った提案事例です。

この形状は、通常「曲げ工程のみ」での製作は困難とされ、別部品の溶接・仕上げ工程が必要でした。そこで当社では、「ガイドプレート」と呼ばれる専用の治具を活用し、曲げ工程のみでの製作を可能にしました。

ガイドプレートを使用することで、しわの発生を抑制。曲げ工程のみで立ち上がり部分の加工可能に！

本事例は筐体部品の角がR形状となっている製品で、立ち上がり（サイドフランジ）がついている仕様となっておりました。

しかし、この形状を通常のR金型でそのまま曲げようとすると、内側（Rの内径側）の立ち上がり部分が圧縮されます。行き場を失った板金は外側に膨らもうとし、歪みが発生してしまいます。

このため、この形状は「曲げによる加工は困難」とされるのが一般的でした。

この課題を回避するための従来の対策は、「R形状の部品」を個別に製作し、後から両側の直線部品と溶接で接合するという方法でした。

しかし、この方法での製作は以下のような課題がございます。

個別に部品を製作する工数が発生する。
溶接工程が追加となり、工数が増加する。
溶接箇所は、外観を損ねるだけでなく、熱による歪みも発生するため、仕上げ工程が必要となります。この溶接ビードや歪みを除去し、周囲と滑らかにするための研磨・仕上げ作業は、非常に手間と時間がかかります。

これらの要因により、製品単価のコストアップとリードタイムの大幅な増加は避けられませんでした。

当社では、この課題を「曲げ工程」の中で解決するため、「ガイドプレート」と呼ばれる専用の治具を活用する工法を提案しました。

これは、R曲げを行う際、R部の立ち上がり部分が圧縮されて外側に膨らもうとする力を、金型にセットした「ガイドプレート」で物理的に抑え込むという手法です。

このガイドプレートを使用した曲げ加工の様子を動画でご紹介しておりますので、まずはこちらをご確認ください。

これにより、ご覧の通り、ガイドプレートが立ち上がり部分の膨らみを抑え込んでいるのが分かります。しわの原因となる板金の膨らみを防ぎ、内側も滑らかで高精度なR形状に成形することが可能となります。

このガイドプレートを使用して、曲げ加工をした実際の製品もお写真でご紹介させていただきます。

本事例のような場合、基本的には曲げ工程のみで側面（サイドフランジ）に立ち上がりを持つR曲げ形状の加工は困難であり、前章で紹介した「R形状の部品」を個別に製作し、後から溶接で接合するという工法がまず検討される選択肢となります。

しかし、このガイドプレートを活用した曲げ加工によって、曲げ工程のみでの加工を実現いたしました。「R形状の部品」を個別に製作し、後から溶接で接合する工法で発生してしまう、溶接や仕上げの工程を削減できたため、最終的に製品自体のコストダウンにつながっています。

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