「注記(ちゅうき)」とは、図面において特定の情報や指示を補足するために記載される、注意書きや説明文を指します。

1. 図面上の記載内容
•補足説明文:専門用語以外のかな表記を除き、漢字やカタカナで記載されます。
•表題欄またはその近く:図面が第三角法または第一角法のどちらで描かれているかを示す記号が記載されます。また、材質や板厚などの情報も「注記欄」に記載されることがあります。
•異なる尺度の併記:同一図面で異なる尺度を用いる場合、その図の近くに「S=○:○」と記入しますが、尺度の欄には主要な尺度のみを記入し、異なる尺度は注記として扱わない場合があります。

2. 寸法記入と関連する指示
•一般公差の指示:公差の指示がない寸法に対しては、JIS普通寸法公差やメーカー基準の公差を「注記」として明記することがあります。
•重複寸法の許容:寸法は原則として重複を避けるべきですが、図の理解を容易にするために重複して記入する場合があり、その際は「●は重複寸法」といった「注記」が用いられます。
•公差付き形体に関する指示:「6コ」や「4面」のように公差が付く形体に関する「注記」は、公差記入枠の上側に書かれます。
•面取りや曲げRの指示:品物の角をすべて面取りしたい場合や、曲げRの指示がない場合に最小Rを適用するよう指示する際は、「(注)指示なき各稜は面取りC0.5のこと」や「(注)指示なき曲げRは最小Rのこと」といった「注意書き(注記)」が図面中に記入されます。

3. 加工に関する指示
•バリの方向:製品のバリの発生方向を指示するため、「バリなきこと」や「バリ方向は内側のこと」といった「注意書き(注記)」が図面に記載されることがあります。
•展開形状の考慮事項:展開図を作成する際に、板目方向、バリ方向、材料表面の模様などを考慮して図面の回転や反転を行う際にも、「注記」に記載された内容を確認します。
•補助投影図や断面図の配置:品物の斜面の実形や、必要な部分の投影図・断面図を通常の位置に配置できない場合、その旨を「注意書き(注記)」で示すことがあります。
•展開図の表示:板を加工して作る品物の展開図を示す場合、展開図の付近に「展開図」と記入したり、寸法で表す場合は寸法線の下に展開長さを括弧でくくって記入したりします(CAD図では異なる記入方法がある場合もあります)