展開図とは、板金部品を曲げ加工する前の、平らな一枚の板の状態を表した図面です。
この図面は、板金製造における品質とコストを左右する、極めて重要な役割を担います。
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品質の起点 最終的な製品の寸法精度は、この展開図の正確さに完全に依存します。レーザー加工機やタレットパンチプレスは、展開図のデータを元に材料を切り出すため、ここでの誤差はそのまま不良品に繋がります。
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コストへの影響 正確な展開図は、一枚の大きな鋼板から無駄なく部品を配置(ネスティング)することを可能にし、材料の歩留まりを向上させ、コスト削減に直結します。
展開図の作成
展開図の作成には、曲げによる材料の「伸び」を精密に計算する必要があります。板を曲げると外側は引き伸ばされ、内側は圧縮されます。この変形量を「曲げ代(まげしろ)」や「伸び値(のびち)」と呼び、板の厚さ、曲げ半径、材質などを基に算出します。この計算の基礎となるのが、伸びも縮みもしない「中立面」という考え方です。
図面での指示
展開図には、部品の外形寸法、穴の位置などに加え、曲げ加工を行う位置を示す「曲げ線」が実線や破線で明確に記入されます。
また、CAD図面などでは、最終的な展開長さを括弧で囲み「(250.5)」のように、検査対象ではない参考寸法として示すこともあります。
このように、展開図は設計情報から実際の加工工程へと橋渡しする、板金製造の第一歩となる重要な図面です